真・鳥兜菱ノ介の憂鬱録


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「天使が昼間にやってきた」



「天使が昼間にやってきた」
少年が、病院の一室で呟く。彼の傍らには二翼の天使。一翼は女性のようなシルエット。もう一翼は男性のようなシルエット。

「えぇ、私は天使。名前はベレタ」
天使が涼やかな声で答える。短いがとても陽の光のように暖かいオレンジ色をした髪の天使がお辞儀と共に自己紹介する。

「俺は、天使。名前はナンブ」
天使が厳格な声で答える。短く、後ろへ流した黒髪、いかつい表情の天使が礼をしつつ、自己紹介する。

「・・・この絵本の通りだったんだね」
少年は、デスクにおいてあった読みかけの絵本を広げる。表紙は優しいタッチで描かれた天使の絵。題名は

「天使のお仕事・・・この天使がね」
ベレタと名乗った天使が隣に立つナンブへ視線を送る。

「余計なことを言うな、ベレタ」
厳しい視線が帰ってくる。

「そうね、ごめんなさい」
「ベレタ・・・僕は、死ぬの?」
「えぇ」
少年の病は、この時代の医学では不治の病と呼ばれていた。

「望みは、何?何でも一つだけ、叶えてあげる」
ベレタは、優しい微笑を浮かべ、少年に聞く。

「うん」
少年は、それを待っていたかのように、天使へ告げる。

「歌が、聞きたいんだ。とても綺麗な」
ベレタが光に包まれ、そこには一人の少女が立っていた。

「一人で、大丈夫か?」
残されたナンブが、聞く。

「やり遂げてみせる。必ず」
少し顔を上げ、言った。今の彼女に天使は見えてない。少年は安心したように眠りについた。



天使の役割。それは、死にゆく人から願いを聞き、それを叶える事。そして、願いの叶った人は天使へ感謝の証、クリスタルを渡して、死んでいく。


「今度は、ナンブは傍にいないようね」
黒い翼を持った女性が、ベレタの前に現れる。冷酷な表情を携えた、妖艶な悪魔がそこにいた。

天使は、願いをかなえるためにある一つの障害と戦わなくてはならない。悪魔と呼ばれるその存在は、天使の邪魔をして、クリスタルを天使が得ないようにすることが目的の、不死身の存在。天使が現れると、その前に必ず出現し、そして戦いを繰り広げる。

「スエ・・・」
ベレタは、悲痛な顔を浮かべる。少年の望みを手に入れて、後はそれを少年へ渡すだけ。その途中に、悪魔と遭遇してしまった。誰も居ない病院へと続く一本道。

「スパース、ホーワ」
スエと呼ばれた悪魔が呼ぶと、二翼の悪魔が出現する。一翼は銀髪で髪を逆立てた男性。もう一翼は茶髪、長髪の男性。

「ナンブはいないのか」
茶髪長髪の悪魔、ホーワがベレタに問う。

「私の、独り立ちデビューだもの・・っ!」
強い瞳で、彼らの威圧を跳ね除ける。

「そう、でも邪魔させてもらうわ。さっさと天使の国へ帰りなさい」
スエと呼ばれた悪魔の右手には、女性の手には余るほどの回転拳銃が握られていた。

「踊りなさい」
空中からの、容赦ない連続射撃。装填数6発のうち、ベレタに命中した弾丸は一発もなかった。

「ま、負けない」
ベレタの右手に、自動拳銃が握られる。天使の持つ銃は悪魔も人間も、そして天使でさえも傷を付けられる。

16発の弾丸が悪魔たちを襲う。
スパースの手には散弾銃。ホーワの手には自動小銃が握られている。

弾丸の嵐が、巻き起こった。

「やるじゃない」
有効弾は5発程度であったが、命中させるために5個のマガジンを捨てた。しかし、悪魔は傷ついているはずだが、その表情は平然そのものだった。

「ナンブ程ではないが、まぁまぁだな」
ホーワの意見は厳しい。彼も4発ほど被弾している。体から血が流れていた。

「・・・」
スパースはずっと黙ったままだった。彼は15発。1マガジン分をその身に受けていた。

「ホントに、悪魔ってしつこいのよね・・・」
ベレタはうんざりしつつ、自動拳銃のスライドを引き、装填する。と同時に、15回、銃声が鳴る。

その全てをスエは受け止める。墜ちていく天使。

「もう、これ以上付き合ってられないの」
走り去るベレタ。

「あのナンブ直々の弟子ってことはあるわね」
スエが涼しい顔で言う。

「そうですね。ナンブだけは、私の手で撃ち抜きたい・・・それを思うだけで・・・」
恍惚の表情を浮かべるホーワ。スパースは、相変わらず黙ったままだった。



「見つけたよ!」
ベレタは、少年の病室へと帰ってきた。その体はボロボロで、服の下から多くの裂傷や火傷が目立つ。悪魔との戦闘で受けた傷だった。


「これは?」
少年が、ベレタの手に握られていたものを不思議そうに見つめる。

「君の、お母さんの歌声」
それは、小型の記憶装置・・・メモリースティックと呼ばれるものだった。

「でも、お母さんはもうこの世にはいないって先生が」
「うん、でも、あなたのお母さんは、あなたにこれを残したみたいね。聞く?」
「うん」

出力装置へ記憶装置を取り付け、簡単な操作をする。流れる、歌声。


「・・・」


「ぼっちゃま、お薬の・・・!」

品のいい紳士が、少年の傍らに小走りで近寄る。手に持っていた盆と薬と水は、打ち捨てていた。

それは、その時には既に不必要のものになってしまっていた。






「ご苦労様、ベレタ」
ナンブが、声をかける。

「あなたから優しい言葉を聞くのは、久々かも」
ベレタが、意地悪そうに言う。

「馬鹿なことを・・・俺はいつだって、優しい。早くそれを、国へ持って変えればいい」
ベレタの手には、光り輝くクリスタルがあった。

「うん・・・あなたは?」
「俺は、仕事だ」
天使が、飛び去る。


また誰かが、無念のまま、死に近づいているのだろう。















以下、あとがき





いきなり、読みきりなのか続きなのかわかりません。

とにかく、ロボット抜きで、天使が登場するガンアクションが書きたかったのです。
要素がニトロプラスの天使ノ二挺拳銃そのままです。パクリですかね。

あちらも人間の死をテーマにしていますが、むしろ生命賛歌に近い印象を受けます。
こちらは、逆に逃れられない死を想う、という感じでしょうか。天使と悪魔についてのネーミングも理由があります。

久しぶりに書いたので、テンポが悪いかもしれませんが、楽しんでもらえたら、色々と考えてもらえたら幸いです。

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