真・鳥兜菱ノ介の憂鬱録


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第1話「我、嘆息ス」


 大和と呼ばれる小国家があった。近年急激に国民の生活水準、科学技術、政治経済、全てが急成長した、新興国である。大和は海に囲まれた島国ではあるが、海底に豊富な資源・・・エーテルと呼ばれるエネルギーが大量に埋蔵されているのを発見して以来、破竹の勢いで発展した。

 之に対し反感を覚えたのは周辺国家である。大和に最も近い大陸、ヨルムンガルド大陸南側に覇を唱える強国、USC(セントラル合衆国)と北側を支配するYLU(ヨルムンガルド連合)が大和を植民地にせんと、動き出した。

 その魁として、大和各地で暴動が起きたのだ。それは、USCとYLUの工作である。彼らは大和の暴動鎮圧を名目として軍を派遣することを決定した。

大和政府は、鎮圧暴動、そして迫りくる大陸の強国に対抗するため、特別部隊を編成した。

その部隊には、英雄の子がいたのだ。




大和鋼鉄戦記





「おい、酒、俺にも回してくれ」

機動兵器 "寅(トラ)"が鎮座している。大和の機動兵器、銃仁士の中で、最も象徴的な存在だ。

その下で、数人の男たちが酒瓶を回して飲んでいる。男、と呼ぶには余りにも幼かったが。僕がその"寅"の中で瞑想しているのにも気付いていないだろう。やけに楽しそうだ。突撃銃を肩にかけたままなのは、僕がそう指示したからだ。きっと僕の父親なら、厳しくどやしつけた事だろう。


「あぁ、やっぱYLUの酒はきつくて最高だぜ」

「俺、酔っ払ったら女とよろしくしたくなるんだよなー」

彼らの年齢は15、もしくは16のはずだ。最年長である僕自身、19である。が、この部隊の風紀の乱れは他の部隊と比べると、たいしたことが無いのが現実である。徴兵(この表現は少し違うのだが)される年齢が、13からなので15、16が主戦力になるのは仕方ない。歴史の授業で習った中で、13,14の初陣が珍しいわけじゃなかったからおかしくはないのだ。大和では。

だが、厳しい訓練学校を出ても人間として、訓練されているかどうかは個人の資質にも関係があり、問題ある人間は良くも悪くも無い人間を問題ある人間に仕立て上げる事が得意なのだ。彼らがそうだ。彼らの中で、若者言葉で言う『ワル』と呼ばれるのは一人いるかいないかだろう。

『第24治安維持隊』

これが、僕が指揮する部隊の名前だった。隊長、副隊長1名ずつに整備兵が4名。あとは歩兵が10名。そのうち、銃仁士に搭乗できるのは隊長と副隊長、そして整備兵の中の1名、つまり全部で3名だけだ。

彼らが談笑している内容を"寅"に備わるソナー、探知機で盗聴するが、今のところこの隊の中で問題が発生する内容は出てきていないが、道徳で言えば問題ある言葉使いばかりだった。


「俺、色町に行ったんだよ」

「嘘だろ、お前は衆道の趣味があるって噂してたぜ」

「はぁ?誰が?」

「21部隊だよ」

「あぁ、あの女だけの枕部隊かよ」

「何だその名前」

「お前知らないのか?政府のお偉いさんを鎮圧するんだってよ」

「ひゃは、そりゃいいや、俺たちも鎮圧してもらいたいね」





下世話な内容だが、彼らに彼女らと対等に張り合えるだけの度胸があるとは思えない。女というものの魔性は本当に底が知れない。誰かの名付けた部隊の俗称も、全く根拠の無い噂なのだが、一体何をしたのか・・・第21治安維持部隊の戦果は、全部で30ある部隊の中で断トツに1位なのだ。

ちなみに治安維持部隊の主な任務はその名の通り、治安維持だ。相手は野盗や過激な思想家、宗教家だ。政府のお偉いさん方の鎮圧ではない。



「隊長殿ってさ、やっぱもう・・・」

「無いだろ、確かに・・・顔は悪くないが、性格が悪い」

「でもさ、年上には可愛がられるって感じじゃないか」


話は、何故か隊長である僕の方へ向かう。全部聴こえてんだよこの畜生め

「ということは、もしかしたら隊長も21部隊に・・・」

「そいつは傑作だな」


僕は拡声器を起動させ、彼らを驚かす。

「た、隊長、し・・・失礼しました!」

足早に逃げる隊員。僕は嘆息しつつ、再び瞑想に耽るのであった。








「機体チェックは完璧だな、整備兵」

「完璧です」


この整備兵は14歳。現在、森の奥に身を隠しているが、今回攻撃する目標は谷の奥に居を構える盗賊団だ。この"寅"で攻撃を仕掛ければ、彼奴らに逃げ場は無い。

「相変わらずの、慎重さですな」

頼れる副隊長が言う。壮年の男だが、その指揮能力は時代が時代なら、彼が大和を背負ってたつ人材だと言い切れる。

まだ未熟な隊長である僕をサポートするこの男は、隊員からは「オヤジ」と親しまれていた。

「副隊長、持ち場に」

ただ、僕はこの男をオヤジとは呼べない。だから、ただ、記号としての名前でしか呼ばないし、呼べない。父親、という呼称は僕にとってはただ一人、憎むべきあの男にのみ、許されるものなのだから。

副隊長は普段の調子で、手際よく隊員を持ち場へ誘導する。少ない言葉で済むのだから、隊長としてこれほど楽なことは無い。ただし、彼の要求はいつも高い。それに答えなければ、簡単に捨てられるだろう。

「"寅"、出るぞ」

隊に支給された機動兵器はこの"寅"1機のみ。"寅"で先制強襲を仕掛け、一気に潰す。この機動兵器の活躍のおかげで、兵が腐る。

だから僕はアジトを兵に囲ませたが、果たしてコレがどうなることやら・・・



そしてこの戦いを契機に、僕はとんでもない道のりを歩く事になるのは、また別の話だ。









最初の設定を濃くしすぎたせいで、SSではなくなりました。


反省します。

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